浬の携帯電話が鳴り響いた。

「カイリ
 御飯、もうすぐできる・・・

 どこか出かけるの?」

貴方は、用意していたのか
黒いスーツを素早く身に纏い
腕時計を嵌めて、テーブルに
置いたままの車のキーを
手に取る。

私の声など、届かない・・・

「カイリ?」

「ああ、すまない
 これから、組長を迎えに
 行くことになった」

「こんな時間に?」

「・・・ああ」

貴方が嘘をついていること
私には、分かるよ。

組長さんを迎えに行く為だけに
呼び出されることはない。

だって、送っていった車が
組長さんを残して帰るわけが
無い。