高月組へ・・・

戸惑う、俺に組長は言う。

「カイリ
 いいから、出せ」

「はい・・・」

俺は、アクセルを踏む。

そして、今、この場所に
俺は踏み込む。

会澤組の一員として初めて
高月組の本部へ・・・

俺は、ガキの頃に何度か
この場所へ、要さんに
連れて来られた事がある。

それはいつも、ほんの数分の
事だったけれど、荒々しい男達
が、皆一斉に要さんに肩車を
されて喜ぶ俺を見上げて
笑いかけてくれた。

その瞳は、怖いどころか
キラキラと輝いていて
俺は、ここに居る全ての人に
受け入れられ、愛されていると
実感する事ができた。

親父には会えなかったけど
俺にはたくさんの親父代わり
がいた。