浬と別れた後、私は母の家で
芳野と妹達と暮らした。

その日々は、高校を卒業する
までの、たった二年半という
月日だったけれど、私は
その穏やかな時の中で

心から安らぎ、充実した時を
過していた。

母、芳野、妹達と過した
かけがえの無い日々は
今も、私の大切な思い出の
中に・・・

高校を卒業してモデルの仕事を
本格的に始めた私は予てからの
ある思いを、母と芳野に伝えた

「アイ
 何も出て行かなくても
 ここからでも
 仕事には通えるでしょう?

 貴女が嫁ぐ、その日までは
 この家でママは貴女と
 一緒に暮らしたいわ」

悲しげな瞳で、母は私に訴える

この家を出て行かないで
ほしいと・・・