私の携帯電話・・・

ママ、芳野
パパ、茅野ママ

順番に着信があり
いったい、これで
何度目だろう?

かかってきて、欲しい人
からの電話は、一度も
かかってはこない。

「アイちゃん
 電話、出た方がいいわ」

雪乃さんに頷き、私は
久しぶりに電話に出た。

「もしもし、ママ?」

雪乃さんは、音を立てない
ように、ゆっくりとドアを閉め
この部屋を出て行った。

「アイ、やっと繋がった
 
 ここのところ、連絡が
 途絶えていたから
 心配したのよ

 もう、知ってるとは思うけど
 イブキとカヤノさん旅行先
 から戻って来てるの・・・」