いつもの場所に停められた
バイク。

温かいシートに、そっと
優しく触れる手。

「また、当分
 お預けな」

浬は、ポンポンとシートを
二度叩いた。

玄関のドアが閉まる音が
家中に響く。

鼻歌交じりに、靴を脱ぐ浬

「あなた、今夜は
 お早いお帰りで・・・
 
 夕食にします? 
 それとも、お風呂?」

声色を変えて、浬に
話しかけるのは、弦。

「何、言ってんの?」

「カイリ
 何か、いいことあった?
 オンナ?ビンゴ
 
 今度は、どんな女?
 
 夜中にバイク飛ばして
 逢いに行くあたり
 マジですかぁ?」