父と、茅野ママと翠の帰る
あの場所にも・・・

大好きな母、妹達の待つ・・
芳野が待つ、あの家にも
私は帰れない。

帰れないよ・・・

赤信号で停まる、貴方の手が
腹部で組まれた私の手に触れ
右手を解き、その手を左腕の
肘辺りへと持っていく。

密着する、二人の体・・・

「ちゃんと摑まってろよ」

「うん・・・」

私は、強く両腕を締め
貴方に抱き付く。

その大きな背中に
頬を寄せて、しがみ付く。

信号が青に変わるのと同時に
走り出すバイクは、加速する

私には、もう

カイリ・・・

貴方しかいない。