「貸して」

受け取ったヘルメットを
貴方に返す。

貴方は、私の両頬を
むにゅっと抓んで微笑む。

「そんなに見んなよ」

私の頬から離れた、綺麗な指先

貴方は私の頭に、ヘルメットを
被せ、首もとのバンドを締める

「苦しくないか?」

頭を上下に振る、私。

「行こう」

バイクに跨る貴方の背に
光が射す。

どこへ行くの・・・?

分からない。

だけど、私に帰る場所は無い