私は、一歩も動けない。

こんなにも苦しい
芳野への想いを、胸に秘め

あの場所で、幾ら少しの間
だけだとは言え、暮らす事
・・・私にできる?

「泣くなよ・・・」

私、泣いてるの・・・?

「ほらっ
 送って行ってやる」

私は、彼の腕を掴み
首を左右に振った。

「帰りたくない」

「どっちだよ」

そう言って、貴方は私の頭を
優しく撫でてくれた。

「いいの?」

「はい」

私が頷くと、貴方は微笑む。