「アイ、行こう・・・」

「どこに・・・?
 
 私・・・
 すぐに戻らないと
 いけない」

貴方の手は、私の手を
放さないように、ぎゅっと
握り締めたまま、街並みを
歩く・・・

いつもの街並みが

いつもとは違う・・・

「カイリ

 私、帰らなきゃ・・・」

私を見つめる、甘い瞳。

「少しだけでいい
 
 お前と話がしたい」

私も、もう少しだけ

貴方の傍で、貴方の声を
聞いていたい。

貴方の声、聞かせて。

二人が手を繋ぎ、歩く後ろ姿
を遠くで見つめるのは、茉優。

彼女は、ピンヒールの音を
響かせて、一人歩いて行く。