二藍蝶

私は、一夜限りの愛
なんていらない。

ここに居てはいけない。

彼に逢っては駄目だ。

改札口へと戻ろうとした
私の足が止まる。

住みたいと、あんなにも
願った、ママと芳野の住む
あの場所へ

今はまだ、帰りたくない。

でも、この場所にはもっと
居てはいけない。

彼に背を向けて立ち尽くし
迷っている、私の手に
そっと、触れる大きな手。

優しい手・・・

冷たい手・・・

「掴まえた
 
 やっと、逢えた

 お前に、逢いたかった
 
 逢えて、すげぇ嬉しい」

貴方の声、聞こえた。