可愛い妹の夜な夜な
泣き啜る声に弦の心は
遣る瀬無い気持ちで
いっぱいになる。

『何もしてやれない
 兄ちゃんで、ごめん』

『お兄ちゃんの手
 温かいね・・・
 繋いでていい?』

『ああ』

手術を終えたばかりの少女は
少しだけ、大人びた微笑を
見せた。

俺は、煙草を捨てて
暗い表情を浮かべる
弦の肩を、思いっきり
強く叩いた。

「痛い」

「セキ、心配すんなよ
 ユミなら大丈夫だ」

「ああ、そうだな・・・」