「奥の手?」
「そうよ」
貴田先生はニヤリと怪しげに笑った。
「それよりも谷口くん、あなたの能力の使い方、思い出せるかしら?」
僕は首を振った。正直な話、本当に判らない。むしろ、今使うことが出来たなら僕はここから逃げられるだろう。時間を止めることが出来るからだ。でもやっぱり、その方法は浮かばない。それに真鈴がいる。置いては行けない。
「仕方ないわね」
貴田先生は大袈裟に首を左右に振ってみせた。
「さっきも言った通り、あなたを絶望させましょう」