「…………」


「それで私、愛花をたたいてしまったんです。それから愛花はまた、外に飛び出して行きました」


「一昨日の夜って、確か雨が」


「はい。愛花と心葉が戻って来たときもかなり濡れてたんですけど、傘もささずに飛び出して行って」


「それで熱が」


「私、ケンカの後でイライラしてて、それでまた愛花が出て行ったもんだから、さらにイライラして。結局、愛花を待たずに寝てしまったんです」


「ご主人は?」


「私と話すのがイヤらしくて、何も」


「そうですか」


「今日もケンカをしてしまって。それで私、とうとう……」


石川の母親は、唾を飲み込んだ。


「離婚してって、言ってしまったんです。それを、多分、愛花が聞いてて」


「家を飛び出した?」


「はい」


全部わかった。石川が悩んでいたこと。