それから私は、保健室の常連になった。


私には、指定席がある。


南側のいちばん奥の、背もたれがついている椅子。


そこは、昼休みに行くと、ちょうど暖かい日が当たっているから。


「石川、マジで卒業できなくなるぞ」


そんなことを思い出していると、佐野先生がまた私に声をかけた。


「はいはい、戻りますよ」


そう言って、椅子から立ち上がった。


そして、ガラッとドアを開けながら、帰り際にこう言ってやった。


「先生、夜のお仕事頑張ってくださいね?」


「いーしーかーわー!」


バタンとドアを閉める。


「ウケる〜」


佐野先生のこめかみ、ヒクヒクしてたな。


私は笑いをこらえながら、廊下を歩いて教室に戻る。


それからすぐ、つまらない授業が始まった。


窓から外を見ると、佐野先生がタバコを吸っているところが目に入った。