心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

石川に話しかけようとした陸を、俺は止めた。


「もういいから」


石川の手にあったケータイを閉じて、カバンにしまった。


少しだけ、石川を引き寄せる。


「せん……せ」


石川は、俺の胸に顔をうずめてきた。


「ごめ……ね」


「謝らなくていい」


「でも……迷惑」


「もうしゃべらなくていいから」


引き寄せた手に、力を込めた。


「陸、タクシー」


「ああ」


「病院、連れてく」


「わかった」