心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

【祐介サイド】


「石川」


俺が石川に話しかけたとき、石川の小さなカバンから、ブルブルっとケータイの振動音が聞こえた。


その音に、石川は体をビクッとさせる。


もうすぐ夜中の12時になるところだった。


「石川、親には?」


石川は、首を横に振った。


「はぁ~」


俺はため息をついた。


予想はしてたけど。


大体こんな時間に、子供を外に出す親なんていないよな。


「出なさい」


何度もケータイが鳴っている。多分、石川が眠っているときも鳴っていたんだと思う。


「ヤダ」


石川は、大きく首を横に振った。