心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「何を?」


助けてって言ったこと。


「消して……」


そうつぶやいた後はもう、下を向くしかなかった。


「俺は、何を消したらいい?」


先生が優しく私に聞いてくる。


「全部、今日あったこと全部」


「それは無理だ。記憶は忘れることはあっても、消すことはできない」


「意地悪」


先生は意地悪だ。


ただ、消すよって言ってくれればいいのに。


ひとりで解決するつもりだったのに。


誰にも言わないつもりだったのに。


私は強いはずだったのに。


なのに、私は先生を頼ってしまった。