心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

俺と陸は、同じ大学に通っていた。


そのときにバイト感覚で始めたのがこの仕事。


俺はちゃんと大学を卒業して、あの仕事に就いたけど、陸は結局、大学を辞めてこの仕事を選んだ。


俺がまだこの仕事をしているのには、理由がある……。


「何で高校生がこんな時間に、ここにいるんだ?」


陸が俺に聞いた。


「散歩だって」


「散歩!?」


陸の声が裏返った。


「何で散歩なんか。熱あるよな、この子」


「昼休みから、保健室で寝てた」


石川の顔をまじまじと見る陸。


「そんな見るな」


「いいじゃん。減るもんじゃないし」


「ただのホストに、俺の大事な生徒見られてたまるか」