先生に向かって、にっこり微笑む。


「石川~」


頼む、そう言ってまた私の前で手を合わせる先生。


「いいですよ。そのかわり、私がいつ保健室に来ても文句言わないでくださいね」


「わかった。約束する」


その答えにうなずいて、私は保健室を出た。


「バーカ」


保健室を出てつぶやいた。


ヘンなの。


佐野先生ってば、自分のこと口止めするのに必死で、私がなんであんな時間に外にいたのかってこと、聞かなかった。


「……にしても、気持ちよかった」


保健室ってなんであんなに気持ちいいんだろ?


春だから暖かい日差しが差し込んで。


夏は冷房、冬は暖房が効いてるし。


我ながら、いい約束をしたと思った。