「そんなに工場が好きなら、ひとりでやればいいでしょ?家族のこと考えられないなんて、最低よ」


その後も、お父さんが何か言っていたみたいだけれど、もう何も聞こえなかった。


私はとぼとぼと階段を上がって、自分の部屋に入った。


下に行かなきゃよかった。


後悔が襲ってくる。


衝動的だった。


着替えをして、財布とケータイをカバンに入れて、家を飛び出したのは。


「先生のウソつき」


もう雨は降っていなかった。


その代わり、晴れた空には星がいっぱい。


「そう言えば、夕方からもう晴れてたっけ」


雨が好きってわけじゃない。


でも、今は星空って気分じゃなかった。


きれいな星空は、なぜか私を余計に悲しくさせる。


『離婚』。