心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

母親は俺に謝りながら、石川が歩いて行った後を目で追う。


「じゃあ、私もこれで失礼します」


「ほんとにすみません」


母親は俺に丁寧に頭を下げた。


俺も、石川の母親に頭を下げて車を発進させた。


石川と母親の関係がよくないのか?


それが、石川の悩んでいることか?


石川の年頃なら、親に反発する気持ちがあってもおかしくない。


むしろ、反抗する気持ちがない方がおかしいくらいだ。


反抗期があってこそ、人は成長する。


でも、それだけじゃない気がする。


もっと大きなものを、石川は背負っている。


それが何か、はっきりは言えないし、正直わからない。


それでもなぜか、そんな感じがした。