心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

【愛花サイド】


車が走り出した。


運転席の先生と、助手席の私。


横目で窓の外を見ると、ここの学校の生徒がびっくりしてこっちを見ていた。


何もびっくりすることはないのに。


保健室の先生が、病人を家まで送っているだけだよ。


「この信号は?」


「左」


「はいはい」


そう答えて、先生は左にハンドルを切った。だんだん家に近づいていく。


もし今、逆の曲がり角を言ったら。先生はそのとおり、曲がるんだろう。


そしたら、家が遠くなるのに。


もし、家に帰りたくないって言ったら、先生は何て言うだろう?