先生はただボー然と、私たちを見送っている。


「お姉ちゃん、知ってる人?」


「ちょっとだけ」


「ふーん」


「心葉、宿題終わってる?」


「算数の宿題、わからないの。お姉ちゃん、教えてくれる?」


「算数か……帰ったら一緒にやろうか?」


「うん」


次の日。


担任から、佐野先生が呼んでいるから保健室に行くようにって言われた。


だから、保健室に行ってみると。


「昨日のことは、黙ってて」


佐野先生は、私の前で手を合わせた。


「別に誰にも言いませんよ。先生がホストだってこと」


「わー」