【愛花サイド】


それから私は、放課後までぐっすり寝た。


熱があるからか、昨日寝るのが遅かったからか、とにかく、まるで何かに意識が吸い込まれるようだった。


起きたとき、カーテンの隙間からは夕日が差し込んでいた。


カーテンを、さっと開ける。


「あー、起きたか?」


「先生、まだいたの?」


「お前な~、石川が帰らなきゃ、俺は帰れないだろ」


そう言って、佐野先生は髪の毛を触った。


「ありがと、先生。帰るね」


「待て待て」


「何?」


「熱は下がったのか?」


「さあ? わかんない」


「自分の体だろ? わかんないとか、ないだろ?」