ちょうどそのときは私服だったし、声をかけてきた人からは私の陰に隠れた心葉が見えなかったみたいだったから、大学生とかもっと年上に見られたのかも知れない。


「俺の店来ない?」


あー、ホストかって思った。


断ろうと思って振り返る。


そしたらなんと……、それが佐野先生だった。


お互い目がテンだった。


ちょうどその日、私は体育の授業でケガをして保健室に行っていた。


だから、先生も私の顔がわかったのかも知れない。


「えっ……っと……」


佐野先生は、何か言い訳を考えているみたいだった。


「心葉、帰ろっか」


でも、私は先生に、何してるの? なんて聞くつもりもなかったし。


別に、誰が何してようが、私には関係なかったから。


「うん」


私はそう答えた心葉の手をとった。