雨に濡れたからっていうのもあるけど、今の声を聞いて怖くなったんだろう。


「心葉、これで体ふいて」


私はとりあえず、さっき持ってきたタオルを心葉に渡した。


「うん」


小さな手で、それを受け取る心葉。


「心葉、ひとりでお風呂入れるよね?」


「お姉ちゃんは?」


「さっき、外に忘れ物してきちゃったから取りに行ってくるね」


「じゃあ、あたしも行く」


「ダメだよ。風邪引くから、今すぐお風呂に行きなさい」


「うん」


「お姉ちゃんのベッドに入ってていいからね」


「うん」


心葉の頭をなでて、玄関を開けた。


「お姉ちゃん、傘!」