心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「先生」


「おっ、最後の挨拶か」


卒業式が終わり保健室に入っていくと、いつものとおり先生が私を迎えてくれた。自分の特等席に座る。


「愛花、卒業おめでとう」


「ありがと」


そう言って、先生にニッコリ笑った。


やっと心から笑えるようになった気がする。


「先生、今までありがとう。先生がいてくれてよかった」


「素直じゃん」


「だから、私はいつでも素直なの」


「そうだったな」


「先生と出会えて、よかったよ」


「俺も」


何となくふたりで顔を見合わせて笑った。


「ずっとそばにいてくれて、嬉しかった」