心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「どんな涙?」


「前向きな涙。嬉し涙」


「嬉しいなら、笑ってほしいな」


俺がそう言うと、一瞬、愛花がニコって笑った。


すぐにその顔は泣き顔に戻ってしまったけれど。


「いつまでも泣いてたら、お父さん安心できないね」


俺の胸に顔をつけて、愛花が言った。


「そうだな」


「私、頑張る」


「頑張らなくていい。俺が笑わせてやる」


「ありがと」


「愛花はひとりじゃない」


「うん」


「俺がずっとそばにいてやる。だから、安心していい」


小さく愛花がうなずいた。