心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「甘えていいんだよ。彼女が彼氏に甘えなくてどうするの?」


「うん」


「よく言うだろ? つらいことは、ふたりで半分にすればいいって」


「そうだね」


「逆に楽しいことは?」


「ふたりで倍にする」


「今もこれからも、ずっと一緒にいよ?」


「私でいいの?」


「愛花がいい。明里でも、誰でもない。愛花がいい」


「ありがと」


「一緒に前向いてこ? 今はつらくても」


「うん」


「泣くなよ、愛花」


俺は愛花の顔を自分の方に向けた。


「いいの。これは、今までとは違う涙だから」