心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

驚いたように、俺の顔を見上げる愛花。


「どうして?」


「もう、辞めようと思って。いつまでも、明里を追いかけるの」


「いいの?」


俺はアイスが溶けないように、食べながら話す。


「今俺がいちばん大切なのは、愛花だ。それ以外、考えられない」


「先生……」


「いつまでも、明里を俺に縛りつけちゃいけない」


「縛りつける?」


「俺がずっと明里を想ってたら、明里は俺のこと気にして、天国で新しい恋もできないだろ?」


「そうかも」


「だから、俺がちゃんと新しい恋してるってことを明里に教えるために、店辞めた」


「先生、私に恋してるの?」


「してるよ? 今までにないくらい、大切にしたい存在。愛花は?」


「私は……先生に甘えてばっかで」