心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

愛花が、俺に体を預けてくる。俺も、愛花の腰に手を回す。


「先生」


「ん?」


「今テレビ見てたけど、何にも笑えないの。おもしろいって思えない」


「内容がつまらなかったんじゃないか?」


「そうかもね」


「大丈夫。そのうち、笑えるようになるから」


「うん」


愛花が俺に、アイスをさし出してきた。


「食べて。もういらない」


そのひとくち、ふたくちしか食べられてないアイスを受け取ると、愛花は疲れたように目を閉じた。


「愛花、聞いて」


「ん?」


「俺、店辞めてきた」


「えっ?」