心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

最初はパラパラ降っていた雨が、だんだん強くなる。


家に着いた頃には、ふたりともビチョビチョに濡れていた。


「心葉、ここで待ってて。タオル持ってくる」


「うん」


玄関に心葉を残して、お風呂場にタオルを取りに行った。


そして、お風呂場からタオルを持って玄関に戻ったとき。


「愛花、今までどこに行ってたの?」


台所から、お母さんが出てきた。


ケンカの後だからか、お母さんは神経がピリピリしている感じだった。


「どこって、どこでもいいでしょ?」


なぜか私も、そんな風に答えてしまう。


「心葉の部屋に行ったら、心葉がいなくて。愛花の部屋に行ったら、愛花もいなくて」


「だから、私たちがどこに行ってたって、お母さんには関係ないでしょ?」


「どうして、そんな風に言うの。こっちは、心配してたのよ!」


「心配? お母さんが心配してるのは、お金のことだけでしょ?」