【祐介サイド】


「愛花、出た?」


「うん」


リビングに戻ってきた愛花に、そう声をかける。


「俺、風呂行ってくるから、ちゃんと髪の毛乾かしてな」


「うん」


愛花が見るかも知れないと思い、お笑い番組をやっているテレビをそのままつけっぱなしにして、俺は風呂場に向かった。


「愛花、何ボーっとしてんの?」


「先生、早いね」


風呂から出てリビングに向かうと、髪も中途半端にしか乾かしていない愛花が、ボーっとソファの上に座っていた。


「30分はたってるよ」


俺は笑って言った。


「そんなにたってるんだ」


「髪の毛、濡れてる」


「これくらい大丈夫だよ」