「えっ?」


マネージャーは驚いた顔をして、タバコを消した。


真剣に話そうということだろう。


「お前はちゃんと仕事を持ってるし、別に辞めることに俺は反対はしないけど。店としては痛いんだよな、裕真に辞められると」


「すみません」


「突然辞めるって、何か理由があるのか?」


「大事な人ができたんです。守りたい人が」


「……彼女のことは忘れたのか?」


彼女って、明里のことだ。


マネージャーは、俺が明里と付き合っていたことも知ってるし、忘れられないでいることも、知っている。


マネージャーは俺にとって、一からこの仕事を教えてくれた兄のようでもあり、父親のようでもある偉大な先輩だ。


だから、俺は今まで何でも話してきた。


「明里のことは、もう追いかけません。いつまでも、過去に捕らわれてちゃいけないって気付いたんです」


「ふーん。ずいぶん夢中になってるね、新しい彼女に」


「夢中って……」