【祐介サイド】


「大きく息吸って」


聞こえているかわからないけれど、声をかけ、背中をなでる。


少しずつだけど、愛花の呼吸が落ち着いてくるのがわかる。


「もう……だいじょ……ぶ」


愛花のか細い声が聞こえた。


「戻ろう」


愛花を抱き上げて、部屋に戻る。


「髪の毛、まだ乾き切ってないね」


俺はソファに愛花を下ろすと、ドライヤーの電源を入れた。


愛花の髪に、ドライヤーをあてる。


肩と背中の中間くらいまで伸びた愛花の髪の毛は、完全に乾かすと、艶やかに光った。


ついでに、自分の髪も乾かす。


「寝よう」


愛花は涙を流しているだけで、何も答えない。