心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

【裕介サイド】


リビングに戻ると、冷たい風を感じた。


「愛花?」


愛花の姿がない。


窓が開いている。


あわててベランダをのぞくと、うずくまってる愛花の姿があった。


「愛花!」


急いでベランダに出る。


愛花に触れると、体がものすごく冷たい。


「ダメだろ、寒いのに。風邪引く」


「先生」


「ん?」


顔を上げた愛花の目には、涙。


「どうしてお父さん、死んじゃったの」


「愛花……」