心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「先生!」


そう言って俺を見た顔は、少し青ざめていた。


「あの、ここです」


かすかにうなずくと、愛花の母親は病室に入って行った。


「愛花」


俺は愛花を起こした。


「お母さん来たよ」


その言葉に、はっと愛花が起き上がる。


起き上がったときに、俺がかけたコートが落ちた。


「あっ、ごめんなさい」


「気にしなくていい」


俺はそのコートを拾って、長椅子に置いた。


しばらくして、愛花の母親が病室から出てきた。


「お母さん……」


母親の姿を見ると、愛花はまた泣き出した。