心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

自分は大丈夫って誰もが思っている。


だからこそ、実際こういう場面に遭遇すると何も考えられなくなる。


特に、大切な人を突然失った場合。


俺が明里を失ったのは、彼女が病気だったから。


だから、覚悟は決めていた。


いつかは、このときが来るかも知れない。


永遠の別れがって……。それでも、その覚悟は完璧じゃなかった。


明里が亡くなったときは、心が張り裂けそうだったし、今だって、まだ明里の影を追い続けている。


だから、突然父親を失った愛花は、もっと俺とは比べものにならないくらい、心が痛んでいるだろう。


「愛花……」


俺がそばにいるから。


お前を、ひとりにしないから。


それから1時間くらいたっただろうか。


ふと足音がした方を見ると、愛花の母親が急いでこっちに向かってくるところだった。