心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「先生ですか?」


「はい。実は……」


俺はなるべく小さな声で話した。


愛花に聞かせたくない。


「はい、わかりました。すぐ行きます」


そう言った愛花の母親の声は、かすかにふるえていた。


「待ってます」


そう言って、電話を切った。


「愛花、お母さんすぐ来るから」


そっと愛花の髪をなでた。


「……病院から電話があったの」


愛花が、ポツリポツリと話し出した。


「お父さんが事故にあって亡くなったって。すぐに来てくださいって」


「うん」


「だから急いでタクシー呼んで、病院に来たの」