「……と言いたいところだが、ふたりの気持ちはしっかりわかった」


「お父さん」


「愛花、いい人見つけたな」


「じゃあ……」


「お父さんは何も言わない。好きにしなさい」


「ありがとうございます」


私たちはもういちど、頭を下げた。


「愛花って、名前をつけてよかったよ」


「えっ?」


「もう少しで咲くかもな。いや、もう咲いてるのかもな」


そう言って、お父さんは笑った。


「うん。大事に育てる」


「そうしなさい」


その後は、お父さんと先生は普通に話すようになった。


お父さんは、男の子がほしかったみたいだからほんとの息子みたいに思ったのかも知れない。先生を裕介くんって呼んでいた。