心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「改めまして、佐野裕介といいます。職業は養護教諭をやっておりまして、愛花さんとお付き合いさせていただいてます」


何だ、しっかり言えるじゃん。


そう思って見た膝の上にはぎゅっと握った手。


やっぱり緊張しているんだって思った。


「いつから、付き合ってるの?」


「夏休みの終わり頃です」


「どうして付き合うことになったの?」


「それは……」


先生は口ごもってしまった。


言えないよね。


夜に私と出かけて、そこから付き合うことになったなんて。


「お父さん、先生はね、ずっと私のそばにいてくれたの」


「愛花」


だから、私が話すことにした。


「私、お父さんとお母さんがケンカする声を聞いて、心が壊れそうだった」