【祐介サイド】


俺は、石川が出て行ったドアをボー然と見ていた。


そのまま、ドサッと椅子に座った。


何であんな、悲しそうな目してんだ? 


「彼女そっくりだ」


俺はそうつぶやいた。


毎日ここに来て、いつもの場所に座って。


それから、外を見て、俺と話して、教室に戻っていく石川。


毎日顔を合わせていれば、今日は元気ないな、とかわかるだろ。


特にこういう仕事をしていると、わかってしまう。


「何なんだよ、一体」


どうして、そんな目してんだよ。


思い出すだろ。


彼女のこと。


「せっかく、忘れられそうだったのに」