【愛花サイド】


「愛花、やっぱり他の日にしないか?」


「今さら何言ってんの」


冬休み。今日はまだお昼だけれど、先生が私の家に来ている。


といっても、まだ玄関の前。


家の中ではお父さんが待っているはずだ。


「いや、なんてゆーかさ。緊張するんだよね」


「そんなこと言って。ほんとは私のこと好きじゃないから、そーゆーこと言うんでしょ?」


「はっ? 意味不明なこと言うなよ」


「だって、お父さんに会いたくないんでしょ?」


言い合いになってしまった。


っていうより、私がまた先生をからかってるだけなんだけどね。


だって緊張しない方がおかしいじゃん。


彼女の父親に会うのに。


「はー。今まで、こんなに緊張したことないし」