心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「うん」


「愛花が離れて行ったみたいで、寂しかったぞ、お父さん」


「ごめんなさい」


何だか、泣きそうになった。


「泣くことないだろ? 別に怒ってるんじゃないんだ」


「うん」


わかってるけど。涙が流れてくる。


「ごめんなさい」


「愛花、もう謝らなくていいよ。お粥、食べなさい」


「うん」


スプーンを持って、口に入れた。


少し冷めてしまったけれど、お父さんが作ってくれたって思うと、やっぱりおいしかった。


「ごめんね、残して」


「これくらい食べられれば十分だよ」


いつも使っているお茶碗に入ったお粥を、半分くらい残してしまった。