心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「言わなかった私が悪いの」


「お父さんな、帰って来たら知らない車が家の前にあってびっくりしたんだぞ」


「ごめん」


「愛花に何かあったのかと思った」


「ごめん……なさい」


「愛花」


「ん?」


「男が愛花の部屋にいたことも驚いたけど」


「うん」


「事情を聞いて、ちょっと寂しくなった」


「えっ?」


寂しくなったの? 


「具合が悪くて頼ったのが、お父さんじゃなかったってこと」


「お父さん……」


「家族なんだから、そーゆーときはいちばんに頼っていいんじゃないか?」