心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

お父さんが、お盆を持って部屋に入って来たところだった。


「食べなさい」


私は起き上がって、お盆を受け取った。


梅干しがのった、お粥。


お父さんはカーペットの敷いてある床に座った。


「おいしい」


「よかったよ」


そのとき、今日初めてのお父さんの笑顔を見た。


「お父さん、ごめんね」


私は持っていたスプーンを置いて、お父さんに謝った。


「お父さんこそ、ごめんな」


「えっ?」


「お父さん、愛花が具合悪いの気付いてあげられなかった」


「ううん」


私は首を横に振った。