心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「ごめんね、先生」


「愛花が謝ることじゃないよ」


先生は私の頭をなでてくれた。


「お父さん、怒ってる」


「当たり前だ。高校生の娘の部屋に、知らない男がいたんだから」


「先生、悪くないのに」


そう言った途端、涙があふれた。


「泣くな。また熱上がる」


「うん……」


先生が私を抱きしめる。


「ちゃんと病院行って、診てもらえよ?」


「うん」


「それから、お父さんのことはゆっくりな」


「うん」


「多分、お父さんも混乱してるんだと思うよ。仕事から帰ったら、娘の部屋に知らない男がいたんだからさ。わかるだろ?」