【愛花サイド】


先生はキスしようとするのをやめた。


「どうしよ、先生。お父さんだ」


そう言って私は、ドアに視線を移した。


「とりあえず、離れるか」


先生は私から、体を離した。


「愛花、寝てるのか?」


外から声がする。なんとなく、怒っているような声。


「先生……」


「しょうがないよ」


先生は私の頭をなでた。


こんな状況だけど、先生の目はとても優しかった。


その目に見つめられると、少しだけ落ち着いた。


「起きてるよ」


私は心を決めて、お父さんの声に答えた。