心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

そう言って体温計を渡すと、愛花はのろのろとそれを受け取って、自分の脇にはさんだ。


「やっぱり」


愛花から受け取った体温計は、39度を示していた。


薬、効かなかったのか?


「愛花、だるい?」


「ん」


「しょうがないな」


ほんとは飲ませたくなかったんだけど。俺は、薬局の袋から解熱剤を取り出した。


熱は体が菌と戦っている証拠だから、無理に下げたくないけれど、愛花の表情はかなりつらそうだ。


「起きられるか?」


「うん」


俺は、愛花が起きるのを助けると、解熱剤を手に置いた。


口に入れたのを確認して、さっきのペットボトルを渡す。


「飲めた?」


「ん」