心~保健室の先生と私~【野いちご文庫版】

「俺、保健室の先生でよかったって思った」


「何、突然」


愛花が少しびっくりしたような声を出す。


「保健室は、いろんな子が来るだろ?」


「うん」


「毎日来る子もいれば、3年間で1回も来ない子もいる」


「うん」


「だから、俺と愛花が付き合ってても誰もわかんない」


「よくわかんない」


俺は相変わらず、愛花の頭をなでている。


「まあ、俺もよくわかんないけど。とにかく、保健室の先生でよかった」


「何それ」


「保健室だから、愛花だって毎日来ようって思ったんだろ?」


「うん。保健室、気持ちよかったから」


「もう寝よ」